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5、(有機化学)ラジカル反応について

参考文献:

T. W. Graham Solomons Organic Chemistry


第5回目はラジカル反応についてです。

ラジカル(radical)とは「過激な」などの意味があるように
非常に反応性に富んだ化学種のことです。

有名どころでは 塩素分子Cl:Clを真っ二つに
割ってしまった「Cl・」などがそうです。
この塩素ラジカルはいわゆる塩素原子の状態です。

高校のはじめのほうに出てくるアルカンへの塩素置換反応では、
Cl2分子に対して、光を照射してエネルギーを与え
無理やり塩素分子を真っ二つに引きちぎることで
不安定な塩素ラジカルを作り出します。

地球上の塩素はその多くが海中などに存在する塩化物イオンCl
塩素分子Cl2として存在することからも分かるように
塩素原子という状態は普通ではなかなか存在できません。
かなり不安定な状態なのです。

この「不安定な状態」というのは裏返せば
「反応性に富んでいる」という事で
その性質を用いて行われる反応がいくつかあります。

ということで今回はラジカル反応の一種である、
アルケン或いはアルキンへの水素付加を取り上げたいと思います。


例をあげますとCH2=CH2+H2→CH3-CH3などのことです。
ところでこの反応の時、必ずニッケルやプラチナ、パラジウムなどの
触媒を用いますがどうしてでしょうか。

答えは「反応の活性化エネルギーを下げるため」…
勿論これで大正解ですがこれは単に触媒一般の性質を述べているに過ぎません。

ではこの反応におけるニッケルなどの金属触媒は
どのような役割を果たしているのでしょうか。

ヒントは上記の塩素ラジカルの作り方にあります。
先ほどは塩素ラジカルを作り出すために光を照射して無理やりCl-Clを引きちぎりました。

( Cl:Cl→ Cl・ + ・Cl )



同様にニッケルはH-Hを引きちぎり、水素ラジカルを作り出しますが
その触媒作用の仕方がなかなかおもしろいです。
下図のように、水素を触媒表面に吸着することで水素ラジカルを作り出すのです。

20061111001328.jpg




面白いのはこれだけではありません。
この反応では上図のように両方の水素原子は必ずアルケンの下側にくっつきます。
これを「シス付加」といいます。

この「シス付加」は京大化学でも時々見られる立体化学の問題を解く鍵ともなります。
(入試で出される時はヒント付だとは思いますが…)

20061111001448.png

※↑サムネイルのクリックで拡大します。

上図において、上の矢印の先はアルケン(1,2-ジメチルシクロペンテン)に対して
同じ方向(下側)から水素が付加しています。
これは、前述の通りニッケルなどを触媒としたcis付加となります。

一方下側の矢印の先はtrans型ですが、このような化合物は
ニッケルなどの触媒を利用した水素付加反応では起こりえません。

このような立体化学の差異は大変面白いので
京大入試の問題3あたりで出てもおかしくないでしょう。

もう一つ重要な事実があります。
通常上記の水素付加反応はアルケンに対してもアルキンに対しても
起こりうるものですが、特にアルキンに対する水素付加は途中生成物の
アルケンでは反応が止まらず、最終的にアルカンになるまで水素が付加します。

途中のアルケンで止めたい場合は、通常パラジウム触媒に対して
故意的に触媒力を落としたリンドラー触媒を用います。

そうすれば、アルキンに対する水素付加は途中のアルケンまででとめることが出来ます。



※リンドラー触媒については
http://en.wikipedia.org/wiki/Lindlar_catalystに詳しいです。

これらはヒント付で京大入試に十分出せるレベルなので
少し注意しておいたほうがよいかもしれません。

それでは最後に一つ問題です。
cis-3,4-ジメチル-3-ヘキセンに対して、上記の水素付加反応を行ったときの生成物の構造式を
立体化学が分かるように描いてみてください。
答えは次回の冒頭に載せておきます。
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2007/04/22(日) 10:44:44 | 化学の考察
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